はたらき手帖

転職の相談先は、職種と年齢で決まる。

ITエンジニアの転職

客先常駐を辞めたい20代へ:つらさの理由で分ける相談先

客先常駐で働く20代が「もう辞めたい」と思ったとき、誰に相談すればよいかは、つらさの理由によって変わります。この記事は、理由を3つに分け、労働局の窓口・自社・転職の相談先のどこへ行くかを1つ決めるためのものです。

この記事の結論

  • 客先の社員から作業の進め方や時間を直接指示されているなら、契約の形しだいでは「偽装請負」にあたる可能性があります。派遣か請負かは実態に即して判断され、厚生労働省の疑義応答集にない事例は都道府県労働局が個別に判断するとされています。当サイトや本人が決めるものではありません。
  • 現場の人間関係や仕事の内容が合わないだけなら、最初に相談する相手は自社(雇い主)です。ハラスメントなど職場のトラブルは、無料・予約不要の総合労働相談コーナーでも相談できます。
  • 同じ作業が続いてスキルが伸びないなら、経験を棚卸ししてから、IT 職に絞った転職エージェントに相談するのが当サイトのすすめです。
  • 辞めたい気持ちはあるが次の方向が決まらない20代は、国の無料のキャリアコンサルティングか、有料のキャリアコーチングの初回無料相談で整理する方法があります。
目次(8項目)
  1. 客先常駐を辞めたいとき、相談先は何で決まる?
  2. 客先の社員から直接指示されるのは、おかしい?
  3. 現場の人や仕事が合わないだけなら、誰に相談する?
  4. 同じ作業ばかりでスキルが伸びないときは?
  5. 20代で客先常駐を辞めるなら、どの順番で動く?
  6. 理由別に、どこへ相談すればよい?
  7. よくある質問
  8. 出典

この記事の制度・窓口・サービスの条件は、2026年10月26日に厚生労働省・労働局と各社の公式サイトで確かめたものです。SES からの転職の進め方そのものはSESから抜け出す順番に、年数ごとの判断はSES 2年目・3年目の判断表にまとめています。この記事は「客先に常駐する働き方」のつらさに絞っています。

客先常駐を辞めたいとき、相談先は何で決まる?

契約書・かみ合わないパズルのピース・短いはしごを、3つの扉にそれぞれ掛けて並べたイラスト
つらさの理由で、最初に相談する相手が変わる(イメージ)

つらさの理由で決まります。当サイトは次の3つに分けて考えることをすすめています。理由が2つ以上あるときは、上の行から先に片づけます。

つらさの理由よくある場面(例)最初の相談先この記事の節
指揮命令がおかしい客先の社員から作業の順番や残業を直接指示される。自社の上司は現場にいない都道府県労働局(需給調整事業の担当)、総合労働相談コーナー指示
現場が合わない客先の人と合わない、通勤が長い、職場の雰囲気がつらい自社の上司・営業担当。ハラスメントなどは総合労働相談コーナー合わない
スキルが伸びないテストや監視など同じ作業が続き、職務経歴書に書けることが増えない自社にアサインの希望を出す → 動くなら IT 職に絞った転職エージェントスキル

表の分け方と「最初の相談先」は当サイトの整理です。窓口の役割は、下の各節に公的機関の記載を載せています。

体調を崩しているときは、この表より先に休むことと医療機関への相談を優先してください。働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には、働く人向けの電話・SNS・メールの相談窓口が案内されています。

客先の社員から直接指示されるのは、おかしい?

契約の形によります。派遣なら、客先(派遣先)が指示を出すのは制度どおりです。請負や準委任(SES でも使われる業務委託の形)なのに、客先が作業の進め方や時間を直接指示しているなら、偽装請負にあたる可能性があります。

契約の形で、誰が指示を出すかが違う

比べる軸労働者派遣請負・準委任(業務委託)
仕事の指示を出すのは派遣先(客先)。派遣元が自社の労働者を「派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために」働かせる形です受けた会社(自社)。業務の遂行の指示や管理、労働時間の管理を自社が自ら行うことは、請負と認められる条件に含まれます(条件はほかにもあります)
客先と働く人の間の指揮命令関係ある(制度上の形)生じないのが前提。あれば、請負形式の契約でも労働者派遣事業にあたり、いわゆる偽装請負となる場合があるとされます
どちらにあたるかの決め方契約の形式ではなく、厚生労働省の基準(37号告示)にもとづいて実態で判断されます

自分の契約が派遣か、業務委託(請負・準委任)かは、自社に確かめてください。客先常駐でも、派遣で働いている人には上の右の列は当てはまりません。

厚生労働省の基準では、何を見る?

「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)は、請負の会社が次のことを自ら行っているかを見ます。

  • 業務の遂行: 仕事の進め方の指示や、仕事の評価にかかわる指示などの管理を、自社が自ら行っていること
  • 労働時間: 始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇、残業や休日出勤の指示などの管理を、自社が自ら行っていること(単に時間を把握するだけは除く)
  • 職場の秩序: 服務規律や、配置の決定・変更などの管理を、自社が自ら行っていること

このほか、業務を自社の業務として、相手から独立して処理していること(資金の調達、法律上の事業主としての責任、単に肉体的な労働力を提供するだけではないこと)も条件です。

厚生労働省の疑義応答集は、準委任契約でも同じ考え方で判断するとしています。アジャイル型の開発を扱った問い(第3集)では、契約の形式を問わず、発注者と受注者側の労働者の間に指揮命令関係があれば労働者派遣にあたるとし、発注者側の担当者が受注者側の開発者に業務の進め方や労働時間を直接指示するような場合は偽装請負と判断される、と説明しています。

こんな場面は、相談の目安になる

厚生労働省・都道府県労働局の「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」に載っている疑義応答集(第1集)は、次のような場合を偽装請負と判断されることになるとしています。

  • 発注者が直接、請負の会社の労働者に作業工程の変更などを指示する
  • 請負の会社の労働者の配置や、一人ひとりへの仕事の割り付けを発注者が決める
  • 発注者が作業の内容・順序・方法を文書などで細かく示し、請負の会社がそのとおりに作業している
  • 現場の作業者が1人だけで、その人が管理責任者を兼ねている(発注者からの注文が、実態として作業者への指揮命令になる)
  • 仕事の完成ではなく、投入した労働者の人数と単価をもとに料金を精算している(業務の性質から合理的な理由があるときは、それだけで直ちに労働者派遣とは判断されないと第2集にあります)

反対に、同じガイドの疑義応答集では、客先との会議やメール・チャットに一緒に参加すること、客先から開発に必要な情報の説明を受けること、対等な立場での技術的な議論は、それだけでは偽装請負にならないとされています。「客先と話している」こと自体ではなく、実質的に指揮命令になっているかどうかが分かれ目です。

相談先はどこ?

  • 都道府県労働局の需給調整事業の担当: 派遣と請負の区分にかかわる窓口です。厚生労働省は37号告示の疑義応答集に載っていない事例は各都道府県労働局が個別に判断するとし、たとえば茨城労働局は派遣と請負の違いのページで、問い合わせ先を職業安定部 需給調整事業室としています。部署の名前は労働局によって違い、厚生労働省の労働局所在地一覧では東京・愛知・大阪が「需給調整事業部」、茨城労働局のページでは「需給調整事業室」です。
  • 総合労働相談コーナー: 各都道府県労働局と全国の労働基準監督署などの378か所にあり、無料・予約不要で、専門の相談員が面談か電話で受けます。法律違反の疑いがあるときは、担当の部署に取り次ぐと案内されています。どこに相談すればよいか分からないときの入口になります。

相談に行く前に、いつ・誰から・どんな指示を受けたかを、日付つきでメモしておくと話が進めやすくなります(当サイトのすすめ)。偽装請負にあたるかどうか、どんな対応ができるかは、窓口や弁護士・社会保険労務士に確かめてください。

現場の人や仕事が合わないだけなら、誰に相談する?

最初は自社の上司か営業担当です。客先常駐では、どの現場に入るかは自社と客先の契約で決まり、働く人を雇っているのも自社だからです。

伝えるときは「辞めたい」から入るより、何がつらいのか(人間関係・通勤・仕事の内容)と、どうなれば続けられるか(現場の変更・担当の変更・時期)を分けて話すと、自社が動ける余地が見えます。現場を替えられるかは、自社の案件と客先との契約しだいで、替えてもらえるとは限りません。

客先での暴言や嫌がらせなど、ハラスメントにあたるかもしれないことは、自社に伝えるのと並行して、総合労働相談コーナーに相談できます。いじめ・嫌がらせ、パワハラも、相談の対象として挙げられています。

自社に相談しても変わらない、自社に相談しにくいときは、転職を考える段階です。その場合の進め方は下の節にまとめました。

同じ作業ばかりでスキルが伸びないときは?

まず自社に、次の現場で経験したい工程や技術を伝えます。それでも変わらない、または待つ時間が長すぎると感じたら、経験を棚卸しして転職を考えます。

テストや運用・監視が中心でも、職務経歴書に書ける材料はあります。担当した工程・使った技術・やりとりした相手・工夫したことを案件ごとに書き出す方法は、SESから抜け出す順番の「経験の棚卸し」にあります。年数と経験の組み合わせで今動けるかを見たい人は、SES 2年目・3年目の判断表を使ってください。

行き先(社内SE・自社開発など)の候補があるなら、IT 職に絞った転職エージェントに相談します。社内SE を目指す人の相談先は社内SEの転職エージェントの比較に分けて書いています。

エンジニアを続けるかどうかも含めて方向が決まらないときは、国の無料のキャリアコンサルティングが使えます。全国のキャリア形成・リスキリング支援センターとハローワークの相談コーナーで、在職者も対象に、対面かオンラインで60分受けられます。この事業の相談では職業紹介は行わないと案内されているので、求人探しではなく方向の整理に使う場です。

20代で客先常駐を辞めるなら、どの順番で動く?

当サイトは、次の順番をすすめています。辞める前に次の行き先の見当をつけておくと、焦って同じ働き方の会社を選ぶことを避けやすくなります。

  1. 自分の契約の形を確かめる: 派遣か、業務委託(請負・準委任)か。指示の節に当てはまるなら、先に労働局の窓口へ。
  2. 辞めたい理由を1つに絞る: 上の表のどれが一番重いか。理由で行く先が変わります。
  3. 相談先を1つ選ぶ: 行き先の候補があれば IT 職に絞った転職エージェント、方向が決まらなければキャリア相談。
  4. 在職中に職務経歴書の下書きを作る: 棚卸しの表から。
  5. 退職の申し出は、次が見えてから: 申し出の時期と伝え方はSESからの転職の進め方「退職はいつ、どう申し出る?」にあります。

モデルケース: 入社2年目、客先常駐で監視業務が続いている場合

次の条件は、順番を説明するための架空の例です。条件は「入社2年目。業務委託の契約で客先に常駐し、サーバーの監視と定型の運用作業を担当。作業の指示は自社のリーダーが出している。開発の工程にかかわりたい」とします。

  1. 指示は自社のリーダーから出ているため、指示の節には当てはまりません。理由は「スキルが伸びない」に絞ります。
  2. 自社に、次の現場では開発の工程に入りたいと伝えます。仮に半年たっても見込みが立たないとすると、転職を考え始めます。
  3. 監視・運用で扱った OS・ツール・障害対応の件数を棚卸しし、IT 職に絞った転職エージェントに、この経験で応募できる開発寄りの求人があるかを最初に聞きます。

この流れで、求人の紹介や内定が約束されるわけではありません。

理由別に、どこへ相談すればよい?

指揮命令がおかしいときは労働局の窓口、現場が合わないだけなら自社が先です。転職を考える段階になったら、次の2つから状況に合う1つを選びます。並びは状況で分けたもので、おすすめの順位ではありません。

下の相談先が向いている人

  • 客先常駐の仕事の内容やスキルの伸び方に不満があり、IT エンジニアとして次の職場を探したい人
  • 20〜30代で、客先常駐を辞めたいが次の方向が決まらない人(→ キャリアコーチング)

向いていない人

  • 客先から直接指示され、契約の形がおかしいのではと思っている人 → 先に労働局の窓口へ
  • 体調を崩している人 → 休むこと・医療機関への相談を優先。働く人向けの相談窓口は「こころの耳」に案内があります
  • 有料のサービスは使わずに方向を整理したい人 → 国の無料のキャリアコンサルティング(転職の相談先の選び方)
  • 40代以上の人 → マジキャリは対象外と公式ブログに書かれています。相談先の選び方の「年齢」へ

外部の公式サイトへ移動します

相談したら、まだ決めていないのに転職を勧められるのでは、と迷っている人へ

今の経験でどんな選択肢があるかを、辞めると決める前に聞いておけます

客先常駐を離れて、IT エンジニアとして次の職場を探したい人

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面談の長さ・方法(オンラインか対面か)は、確認した公式ページに記載がありませんでした
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スキル・強み・志向性を整理したうえでの、市場での立ち位置と選択肢
申込後の連絡
面談は転職を決めていない段階でも利用でき、紹介された求人に応募するかは面談後に自分で決められると公式サイトに書かれています
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20〜30代で、辞めたあと何をしたいかから整理したい人(有料のキャリアコーチング)

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初回相談は無料。コースは有料で、キャリアデザインコース594,000円から、別に入会金55,000円(いずれも税込)
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オンラインで原則60分(公式ブログ。同じページに「オンライン60~90分」の表記もあります)。予約は公式LINEをお友達追加して行います
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続けない場合は「強引な勧誘はせずに、そのままサポートが終了します」と公式ブログに書かれています。20〜30代向けのサービスです
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上の内容は TechGo とマジキャリの公式サイト(マジキャリの時間と勧誘の扱いは公式ブログ)に書かれていることです(2026年10月26日に確認)。

よくある質問

客先常駐という働き方は、それ自体が違法?

客先で働くこと自体を禁じる決まりは、この記事で確認した厚生労働省・労働局の資料にはありません。派遣として客先で働くことも、請負・準委任の契約で自社の指示のもと客先で働くことも、制度にある形です。問題になるのは、請負・準委任の契約なのに、実態として客先が指揮命令している場合です(上の節)。

SES と客先常駐は同じ意味?

重なる部分が大きい言葉です。SES はエンジニアが客先で技術を提供する働き方の呼び名で、客先常駐はその働く場所の形を指します。SES という働き方から抜け出す順番はSESから抜け出す順番にまとめています。

労働局に相談したことは、自社や客先に伝わる?

どう扱われるかは、相談の内容と窓口の対応によります。相談の最初に、名前や相談したことを会社に伝えないでほしいかどうかを窓口に伝え、扱いを確かめてください。

20代で、客先常駐の経験しかなくても転職できる?

経験の中身によります。担当した工程・技術・成果を書き出せれば、職務経歴書の材料になります。年数と経験から今動けるかの目安はSES 2年目・3年目の判断表にあります。

出典