SIerから社内SEへの転職:仕事の違いと後悔しやすい点、年収の確かめ方

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SIer で客先の案件と納期に追われ、社内SE なら落ち着いて働けるのではと考える一方で、「移って後悔した」「年収が下がった」という話も目にして迷っている人向けの記事です。仕事の違いと後悔しやすい点を先に並べたので、応募の前に面接で何を聞くかを決められます。
この記事の結論
- SIer から社内SE への転職は、発注する側に回る転職です。ベンダーとして見てきた進め方は生きますが、自分で作る仕事は減ることがあります。
- 後悔しやすいのは「開発から離れる」「年収の内訳が変わる」「IT が会社の中心でない」「少人数の体制」「問い合わせ対応が多い」の5つだと当サイトは整理しています。どれも面接の質問で、ある程度は先に確かめられます。
- 年収は、job tag に載る公的な統計では、SIer の SE と社内SE を分けて比べられません。求人票の年収を、残業代・賞与の内訳まで分けて今の年収と比べます。
- 社内SE に行き先を決めているなら社内SE に絞った転職支援、まだ迷っているならSIerを辞めたいときの行き先の記事から読むのがおすすめです。
目次(8項目)
SIer から社内SE に転職できる?
SIer の経験を生かして社内SE に移る道はあります。ただし、内定や条件は応募先と経験しだいで、約束できるものではありません。
厚生労働省の job tag では、受託開発のシステムエンジニアを「顧客の情報システムの開発を受託し、ソフトウェアを開発する」仕事とし、勤務先は「SIer(システムベンダー)、コンピュータメーカーなど」としています。社内SE は、自社のシステムを、自社の側から企画・運用し、外部のベンダーとやりとりする立場です(job tag に社内SE の名前の職業はないため、当サイトの整理)。立場が「受ける側」から「頼む側」に変わる、と考えると違いをつかみやすくなります。
当サイトの見方では、SIer で次の経験がある人は、社内SE の選考で説明の材料にしやすくなります。
- 顧客と要件を決めた経験(job tag の説明では、顧客とよく検討してどのようなシステムにするかを決める工程が「要件定義」)
- 見積もり・進捗・品質の管理など、ベンダーの側でプロジェクトを回した経験
- 運用・保守のフェーズで、障害対応や問い合わせを受けた経験
SIer と社内SE は、仕事の何が違う?

いちばん大きな違いは、誰のシステムを、どの立場で扱うかです。違いを表にまとめました。会社による差が大きいので、目安として読んでください。
| 比べる軸 | SIer の SE | 社内SE |
|---|---|---|
| 扱うシステム | 顧客のシステム(案件ごとに変わる) | 自社のシステム(同じものを長く扱う) |
| 立場 | 開発を受ける側 | 開発を頼む側。ベンダーを選び、管理する |
| 主な仕事 | 要件定義・設計・開発・テスト・導入・保守 | 企画・予算・ベンダー管理・運用・社内からの問い合わせ対応(会社によって開発もある) |
| やりとりする相手 | 顧客、社内の開発チーム、協力会社 | 社内の各部門、経営層、外部のベンダー |
| 働く場所 | job tag では「顧客の事業所等で仕事をする場合もある」 | 基本は自社の事業所 |
| 忙しくなる時期 | job tag では「納期が迫っているときは忙しく、時には休日や夜間に仕事をすることもある」 | job tag の「運用・管理(IT)」では、人事異動の多い時期や新サービスの運用開始の時期に残業が長くなる傾向がある、とされる |
| 成果の見え方 | 案件の納品・売上 | 社内の業務が良くなったか、止まらずに動いているか |
「働く場所」「忙しくなる時期」の引用は job tag の「システムエンジニア(受託開発)」「運用・管理(IT)」のページ(2026年10月26日に確認)。ほかの行は当サイトの整理です。
SIer から社内SE に移って、後悔しやすいのはどんな点?
当サイトは、移ったあとに「思っていたのと違った」となりやすい点を5つに整理しています。公的な調査にもとづく分類ではありません。それぞれ、防ぐために面接で聞くことを添えました。
1. 開発から離れる
社内SE は、開発を外部のベンダーに頼み、自分は要件の取りまとめと管理に回ることがあります。手を動かす仕事を続けたい人には合わないことがあります。
聞くこと: 開発は社内でしていますか、外部に頼んでいますか。社内でコードを書く仕事は、どのくらいありますか。
2. 年収の内訳が変わる
SIer で残業が多かった人は、残業代が年収の大きな部分を占めていることがあります。社内SE に移って残業が減ると、基本給が同じくらいでも年収が下がることがあります。くわしくは次の節で扱います。
聞くこと: 求人票の年収には、残業代と賞与がどのくらい含まれていますか。固定残業代はありますか。
3. IT が会社の中心にない
本業が IT でない会社では、情報システムは費用として見られ、提案や予算が通りにくいことがあります。逆に、経営が IT への投資を進めている会社なら、企画の仕事が多くなります。
聞くこと: 情報システムの担当は、どの役職の人に報告していますか。ここ数年で進めた IT の取り組みは何ですか。
4. 少人数の体制で、1人に仕事が集まる
情報システムの担当が1〜2人の会社では、休みが取りにくく、障害の連絡が自分に集まることがあります。1人で担当する体制の悩みと確かめ方は、一人情シスを辞めたいときの転職の記事にまとめています。
聞くこと: 情報システムの担当は今何人ですか。夜間・休日の障害は、誰が受けていますか。
5. 問い合わせ対応が多い
社内の問い合わせ・パソコンの準備・アカウント管理が中心の社内SE もあります。job tag ではこれらは「ヘルプデスク(IT)」の仕事として説明されています。上流の経験を生かしたい人は、仕事の割合を先に確かめます。
聞くこと: 問い合わせ対応・運用・新しいシステムの企画のうち、どれがいちばん多いですか。
社内SE に移ると、年収は下がる?
job tag に載る公的な統計からは、下がるとも上がるとも言えません。job tag の年収は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした職業の分類ごとの値で、勤め先が SIer か事業会社かによる値は載っていないためです。値を並べると、比べにくさが分かります。
| job tag の職業(令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工) | 年収・全国 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| システムエンジニア(受託開発) | 578.5万円 | 37.1歳 |
| 運用・管理(IT) | 609.8万円 | 42.2歳 |
| ヘルプデスク(IT) | 609.8万円 | 42.2歳 |
2026年10月26日に job tag の各職業のページで確認。job tag は、統計データは「必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません」としています。
この表から当サイトが読み取ったことは3つです。
- 社内SE の区分がない: 社内SE の名前の職業はなく、社内SE の仕事は運用・管理やヘルプデスクなど、いくつかの職業に分かれます。
- 分類が粗い: 運用・管理(IT)とヘルプデスク(IT)は、job tag に示された職業分類の名前(「ITシステム運用管理者」「ITヘルプデスク」)は別ですが、年収・平均年齢・労働時間がすべて同じ値です。統計の上では同じ区分の値を使っていると当サイトは読んでいます。職業ごとの細かな差は、この値からは分かりません。
- 平均年齢が違う: 年収の差には年齢の差も入っています。「運用の仕事のほうが高い」と読むのは早いです。
統計の代わりに、次の手順で自分の数字を比べます(当サイトのすすめ)。
- 今の年収を、基本給・残業代・賞与に分けて書き出す
- 応募先の求人票の年収を、同じ3つに分けて聞く(固定残業代が含まれるかも)
- 残業時間が変わった場合の手取りを、自分で見積もる
応募の前に、面接で何を聞けばよい?
後悔しやすい5つの点に対応する質問を、1つの表にまとめました。全部を1回の面接で聞く必要はなく、気になる点から順に聞きます。
| 確かめること | 聞き方の例 | 答えで分かること |
|---|---|---|
| 開発の量 | 開発は社内と外部のどちらでしていますか | 手を動かす仕事が残るか |
| 年収の内訳 | 提示の年収に、残業代・賞与・固定残業代はどれくらい含まれますか | 今の年収と同じ形で比べられるか |
| 報告先と予算 | 情報システムの担当は、どの役職に報告していますか | 提案が経営に届きやすいか |
| 体制 | 担当は今何人で、今回は欠員の補充ですか、増員ですか | 1人に仕事が集まる体制か |
| 仕事の中心 | 問い合わせ対応・運用・企画のうち、どれが多いですか | 上流の経験を生かせるか |
| 雇い主と働く場所 | 担当するのは御社のシステムですか。勤務先は御社の事業所ですか | 「社内SE」の名前でも、ほかの会社に常駐する働き方でないか |
最後の行は、求人の名前が「社内SE」でも、ほかの会社に常駐して働く求人と見分けるための質問です(当サイトの整理)。SES(客先で技術を提供する働き方)から出たい人は、SESから抜け出す順番も合わせて読んでください。
モデルケース: SIer で6年、要件定義が多くなった人が社内SE の求人を比べる場合
次の段取りは、比べ方を説明するための架空の例です。条件は「SIer で6年。直近2年は要件定義と顧客との調整が中心。在職中」とします。
- 今の年収を、基本給・残業代・賞与に分けて書き出します。
- 社内SE の求人を3件に絞り、上の表の質問をそれぞれに聞いて、答えを横に並べます。
- 仮に、1社は開発を外部に頼んでいて企画が中心、1社は担当が1人で運用が中心だったとすると、要件定義の経験を生かしたいこの人には前者のほうが合います。
- 年収は、残業が減った場合の額で比べ直してから決めます。
この段取りで、求人の紹介や内定が約束されるわけではありません。
社内SE への転職は、どこに相談すればよい?
社内SE の求人を扱う転職サービスは、社内SE に絞ったところ・IT 特化・総合型があります。違いは社内SEの転職エージェント比較にまとめています。ここでは、行き先を社内SE に決めた人向けに、社内SE に絞った転職支援を案内します。
下の転職サービスが向いている人
- SIer での経験があり、行き先を社内SE・情シスに決めている人
- 応募の前に、社内SE の求人の仕事内容や体制を担当者に相談したい人
- 在職中で、平日の夜や土曜に面談を入れたい人
向いていない人
- 社内SE にするか、Web系・自社開発やITコンサルにするかで迷っている人 → SIerを辞めたいときの行き先と時期
- 手を動かす開発の仕事を続けたい人 → 社内SEの転職エージェント比較の IT 特化型から探す
- 地方で探す人 → 地方の社内SE求人の出方と探し方
PR・広告主の公式サイトへ移動します
SIer の経験が社内SE の選考でどう見られるか分からず、相談するか迷っている人へ
社内SE・情シスに絞った転職支援に、自分の経歴で応募できる求人があるかを相談できます
- 費用
- 登録からカウンセリング、企業の紹介、入社の決定まで、すべて無料と公式サイトにあります
- かかる時間
- 面談はオンラインと対面(東京本社・大阪)から選べ、平日10:00〜20:30、土曜10:00〜19:00に始められます。面談の長さは公式サイトに記載がありません
- 分かること
- 社内SE を中心にした求人(自社開発・情シス・IT戦略・DX推進など)の紹介。経験や希望によっては、求人の紹介ができない場合があると書かれています
- 申込後の連絡
- コンサルタントは転職を急かさず、面談の結果によっては現職に留まることをすすめる場合もあると、公式サイトに書かれています
上の内容は社内SE転職ナビの公式サイトに書かれていることです(2026年10月26日に確認)。
よくある質問
SIer の何年目で社内SE に移るのがよい?
年数より、社内SE の選考で説明できる経験がそろったかで決めるのが当サイトのすすめです。年数ごとの目安は、SIerを辞めたいのは何年目かの記事の表にまとめています。
社内SE は、SIer より楽?
会社によって違い、一律には言えません。納期に追われる場面は減ることがありますが、job tag の「運用・管理(IT)」では、人事異動の多い時期や新しいサービスの運用開始の時期に残業が長くなる傾向がある、とされています。少人数の体制なら、障害の連絡が自分に集まることもあります。
出典
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「システムエンジニア(受託開発)」(2026年10月26日に確認)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「運用・管理(IT)」(2026年10月26日に確認)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「ヘルプデスク(IT)」(2026年10月26日に確認)
- 社内SE転職ナビ 公式サイト(2026年10月26日に確認)